先生は、確信犯ですか……?


嬉しくて、目が熱くなる。


喉が詰まって、鼻の奥がツンとする。



嬉しくて、ドキドキして、涙が出そうになって。


先生の書いた文字を、指でなぞる。

少し筆圧の強い、先生が私に宛てた言葉。






プリントには付箋がついていて、放課後に来るように、と書かれていた。


優しい先生……

ますます大好きだよ。




もう、止められない。




数式じゃ解けない恋の問題



どうしたらいい……?





ドキドキしながら、数学教科室のドアを6回ノックした。


「入れぇ」


名前を言わなくても分かってくれる。


六回のノックは、先生が決めたことだから。


“バカが来たよ”

先生は、そう笑ったけど

私は

“さえき つよし”

だと思ってるから……。






「おぉ、来たか。さて、数学がクルクルパーのお主には、特別に、これをしんぜよう……。……使い方あってる?」



時代劇みたいに、ははーっと言う先生に、ぷっと笑った。