結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。



「あぅ…」



もうやだぁ……。


手で両頬を抑えて、赤くなった顔を隠す。


そして、恥ずかしさから下を向いた。



「下向くんじゃなくてこっち見ろよ」


そう言って、結城くんはそのわたしの行動を阻止するかのように、綺麗な指でわたしの顎をぐいっと上げる。



強制的に上を向かされて、嫌でもわたしの真っ赤な顔があらわになった。



ジッと結城くんに見られる。



「うぅ……」



恥ずかしさからか、さらに顔は赤くなり涙がじわっと滲む。



「その顔、反則なんだけど……」


ボソッと結城くんがなにか呟いたと思ったら


次の瞬間、目の前には目をつぶった結城くんの顔でいっぱいになっていた。



そして唇にはなにか違和感が。



でもそれはほんの一瞬で、すぐに目の前の視界は開けた。



「俺にこんなことさせたのあんただから」



そう言って結城くんは階段を降りていってしまった。