結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。




―和真side



俺にはずっと好きな人がいる。


天然で小動物みたいに可愛くて、笑顔が似合うとても優しい女の子。



南ゆきちゃん。



俺はこの子に、入学式のときから思いを寄せていた。



ただすれ違っただけ。


会話を交わしたわけじゃないし、もっと言えば目すら合ってない。



ほんとに俺の一目惚れだ。



なのに俺の目はいつだって彼女を追ってしまう。



でも日頃に、彼女に触れたい……

彼女に俺のことを知って欲しい……


そんな欲が湧き出て来た。



だけど、勇気をだして告白したときには、彼女は俺じゃない他の男を見ていた。



遅かったんだ……



俺なりに頑張ったけど、やっぱり彼女を満開の笑顔にすることができるのはあいつだけで。


だから俺は彼女を手放して、あいつに任せたのに…



あいつが彼女を泣かせてどうすんだよ。



本当は俺が、俺の手で彼女を幸せにしたいけど、やっぱり俺では無理だから。



だから、彼女がまた笑ってくれるように、俺は俺なりのやり方で彼女を笑顔にするんだ……