結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。



俺はゆきと話す機会を完全に失ってしまったわけだ。



いや、俺が無理矢理にでも会いに行って何が何でもゆきの手を離さなきゃいいんだけど、そんなことをしてもしもゆきに拒絶されたら……



そう考えると、出かかった俺の勇気が一瞬にして引っ込んでしまって、なかなか行動に移せない。



ゆきからしたら今更何なんだって感じだよな。



たとえ俺の意思がなくても、逢坂とキスをしたのは事実だし…。



そしてその逢坂は、相変わらず俺に近寄ってくる。



「結城ー!」



ほら……



「結城!」


「…………なに?」


「もう!なんでそんな素っ気ないの!」



前にもう俺に関わんなって言ったはずだけど。


それでも来るこの女には正直もう嫌気しかない。



「あっち行け」



俺は逢坂を見ずにそう言った。



俺がゆきとこうなったのは多方、いや絶対この女が原因だ。



そんな女を俺が怒ってないとでも?



俺の危機感がなかったのも原因ではあるが、勝手なことをしてきたこの女のことは許せない。