「なんか最近のお前、人形みたいだよな」
「……は?」
人形?
意味わかんねーんだけど。
「やらなきゃいけねーことはやるくせに、ただ淡々とこなすだけでそこに何の感情もねーの!今の直也は」
舜にそう言われるけどいまいちよく分からない。
「ゆきちゃんと出会う前の直也を見てるみたいだよ」
ゆきと出会う前……
確かにあのときは感情なんてものは俺にはなかった気がする。
でも、今は……
「はぁ……」
ゆきに会いたい。
会って沢山話したい。
そんな願望が頭の中を支配する。
でも、俺がゆきに会いに行けばゆきは思い出したくない過去を思い出すことになる。
現に今だって、俺はゆきに避けられてるから。
「そうだ直也。
ゆきちゃん、まだ家に帰ってこないのか?」
「ん?…あ、あぁ」
「……そっか」
そう、ゆきは家にも帰ってこない。
松島の家にここ数週間泊まってるらしい。
これもゆきの口から聞いた訳じゃなく、雛さんから。
