結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。



「あたしは、そんな結城くんだからゆきを託したの。

結城くんなら、ゆきを本当の意味で救ってくれるって思ったから」



あたしじゃゆきを救えなかったから。



だからゆきの笑顔が増えて、あたしは本当に嬉しかったんだ。



もうゆきの涙を見なくていいんだって、思ったから。




なのに……


「そのあんたが、ゆきを泣かせて……。

過去を思い出させて、どうすんのよ!」



もう一度恋をすることができた相手が他の女とキスしたなんて……



ゆきの過去の傷をえぐってるようなもんじゃない!



「………もうゆきには関わらないで…」



そう低い声で、だけどはっきりとあたしは伝えてその場を後にした。