―直也side
目の前にあるのは、唇に触れてるのはゆきじゃない違う女の顔。
その事実に、一気に俺の意識は引き戻された。
目の前の女、逢坂の肩を引き剥がす。
「何してんだよ、逢坂」
俺の口から出てきたのはかなり冷たい声。
こいつが俺に必要以上に近づいてくるようになり、面倒くさくなって王子様のキャラで接することはやめた。
「何って、結城があたしのことを見てくれないから!」
「だからってこんなことすんじゃねーよ」
このポジションだってキスするのだって、全部ゆきだけだ。
それは誰にも譲らねー。
だけどそれにズカズカと踏み入ってきたこいつを見るだけで、胸糞悪ぃ。
「じゃああたしを見てよ!」
目に涙を浮かべて俺を見上げる逢坂。
それを見て、やっぱりゆきが一番可愛いと思ってしまう俺。
見上げられるのも、キスされるのもゆきがいい。
ゆきじゃないと気持ち悪いとさえ思ってしまう。
