「あと、そんな風に睨んでも全然怖くねーから。

逆効果だと思うけど」



フッと笑う結城くんにわたしは「ばか!」と肩をポカっと叩く。



「馬鹿で結構」



そう言って結城くんは何故かわたしの首筋に顔を埋めた。



「結城くん?」



気になって結城くんの名前を呼んだ瞬間、首筋にチクッと鋭い痛みを感じた。



「……え?」



なに?今の……



「結城くん?何したの?」



立ち上がった結城くんにそう聞くと、

「俺のっていう印。あとで鏡見てみな」



また不敵な笑みを浮かべて、部屋から出ていった。



「…印?」



わたしはベッドから立ち上がって鏡の前に立つ。



首筋をよく見ると……

「っ!!」



これって…キスマーク、だよね?



そこには赤い華が一輪咲いていた……。