「はぁー、ゆき不足……」


「はいはい、惚気は聞きたくないね」


「うっせー」



いいだろ。


ほんとにゆき不足なんだからそれぐらい言わせろ。



「ちゃんとゆき寝てるかな〜。

飯もしっかり食べてるかな」



あぁ、やばい。

ゆきが心配すぎて何も手につかねー。



今はもう昼休みだけど、さっきまでの授業なんも聞いてねーもん。



「ほんとお前、ゆきちゃん好きだよな。

こんな直也見たらファンはどんな反応すんだろーな」


「知らねーよ。

第一俺はゆきと付き合ってるって言いふらしたくて仕方ねーわ」


「なんで言わねーの?

言ったら少しはファンも減るんじゃね?」


「仕方ねーだろ。

ゆきが言いたくないって断固拒否すんだから」



付き合い始めてすぐに、学校の奴らに言おうってゆきに提案したら嫌!って即答されたからな。



でも俺も毎日女にくっつかれるのは嫌だから、ゆきの存在を周りに知って貰いたかったのに泣き始めるもんだから諦めた。