「直也とは上手くいってる?
あいつ根はいい奴だからさ、できれば仲良くしてやって欲しい。
それに直也はゆきちゃんのこと気に入ってるみたいだし」
上手くいってる、か……
その言葉に夜中のことを思い出し、涙が出そうになるのを唇を噛んで手をぎゅっと握って必死に堪える。
そんなわたしを見て、心配そうに矢本くんは顔を覗き込んできた。
「ゆきちゃん?もしかして、上手くいってない?」
遠慮がちにそう聞く矢本くんに、遠慮できる人なんだななんて思う。
「上手くいってるも何も、 結城くんはわたしのこと何とも思ってませんし逆に嫌われていると思います」
さっきだってわたしのこと面倒くさいとか泣く女は嫌いだって吐き捨ててたし。
何より、結城くんの目が凄く冷たかったから。
だから、結城くんがわたしのこと気に入ってるなんて絶対にある訳ない。
「え、ちょこっち来て」
そう言われ、矢本くんに腕を引っ張られ着いた場所は人気のない体育館裏。
正直、今はほっといてほしかった。
矢本くんと話していると、嫌でもさっきの光景が出てくるから。
