「久しぶり」
「久しぶりだね!亮くん元気にしてた?」
「まぁ。
最近はうるさい姉貴にうんざりしてたとこ」
リビングにいるあやちゃんの方を少し怪訝そうに見て口にした亮くん。
「ふふっ。
あやちゃんは世話焼きさんだからね。
でも亮くん思いの優しいお姉ちゃんだと思うよ?」
「は?あれが?ないない」
でも、そんなこと言いながら松島姉弟は仲がいい。
あやちゃんも『亮がほんとウザい』とかたまに愚痴ってたりするけど、ほんとに仲が悪かったら喋らないもん。
だから姉弟がいないわたしからしたら、松島姉弟は羨ましいんだけど。
「ゆきは?最近何かあった?」
そう聞いてきた亮くんに首を傾げる。
「何かとは?」
「いや、ほら…。彼氏、とか?」
「彼氏?」
聞きにくそうに顔を背けながら、ごにょごにょと話す亮くんにさらに首を傾げる。
「あ"ー、わーった!ゆき彼氏出来たか?」
「できてないけど…」
それがどうしたんだろ。
「できてないのか、よかった……」
「ん?」
「いや、なんでもない」
ぼそっと顔を逸らして呟いたせいかわたしには聞こえなかった。
