「…直也?」
誰かが結城くんの名前を呼んだ。
え?
誰?この綺麗な女の人……
結城くんの知り合い?
「やっぱり直也だ!久しぶりぃ」
ズキッ…__
結城くんの腕に女の人は自分の腕を絡ませてギュッとくっつく。
「ねぇねぇ、これから空いてる?
久しぶりにどう?私、直也と一緒にいたいなぁ」
女の人はわたしの存在に気づいていないのか、お構い無し。
もしかしてこの女の人、結城くんの彼女?
でも結城くんって彼女いないはずじゃ…
だけどもし、結城くんに彼女がいたら?
わたし、ショックで倒れちゃうかも……
せっかく勇気出して頑張ろうってあやちゃんと約束したのに。
「うぜぇ、離れろ。
悪いけど俺、もうそういうのやめたから。
溜まってんなら他行って」
冷たい口調でそう吐く結城くん。
その様子で、この女の人は結城くんの彼女ではないことを察する。
よかった、彼女じゃないんだ。
ホッと胸を下ろすわたし。
「ゆき行くぞ」
「う、うん」
わたしの腕を引いて歩き出す結城くんに戸惑いながらもついて行く。
ふと後ろを向けば、さっきまでいた女の人はもういなかった。
