結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。



ちょ、えっ?



「おまっ、急に叫ぶ……」


「なんで言ってくれなかったんですかぁ!!

言ってくれたらクレープ屋じゃなくてほかの所にしたのに…」



わたしだけいい思いしてるみたいで嫌だ……



「俺のことは気にすんな。

俺はゆきの笑顔が見れただけで十分だし」



――ドキンッ…



…何っ、それ……


そういうこと真顔でサラッと言わないで欲しい。



でもわたしの体は正直で、結城くんの言葉一つ一つに反応する。



今だってほら…。


きっと結城くんは何の意味もなく放った言葉なんだろうけど、わたしの心臓はドキンドキンと高鳴っている。



けど、

わたしだけじゃダメなの。


わたしだけが笑顔になるんじゃなくて、わたしは結城くんにも笑っていてもらいたい。



だから……


「わたしは結城くんの笑顔も見たいです!

結城くんの笑顔が好きだからっ…!」



気づけばそんなことを口走っている自分がいた。



結城くんも、まさかわたしがそんなこと言うとは思っていなかったのか、目を見開いて驚いていた。



しかしそれも一瞬で次の瞬間、フッと優しく笑って


「ありがとな。ゆき」

と結城くんは言った。



普段見せてくれないその表情に、またもやわたしの胸はドキンッと音を鳴らす。



ほんとズルいよ、結城くん……


こんなにもわたしの心をかき乱すんだもん…。



「じゃ、行くか」



結城くんの一言でカフェへと足を進めたとき…――