「ねぇゆき。
もうそろそろ、過去に囚われるのはやめたら?」
しばらく黙っていると、今までなにか考え込んでいたあやちゃんが口を開いた。
「ゆきだって分かってるんでしょ?
このままじゃダメだって」
分かってる……
分かってるけど、
「信じきれる自信がないの……」
このままじゃ、前に進めないこともわかってる。
だけど、また信じて裏切られたらって思うと怖いんだ…。
「ゆきはさ、結城くんが簡単にゆきのことを裏切るような人だと思う?」
あやちゃんが優しく問いかける。
顔をブンブンと横にふる。
そんなこと、思うわけない……
意地悪で自分勝手で人のこと奴隷扱いする人だけど、その中にはどこか優しさがある。
ハンバーグがいいって言ったときの顔とか可愛くて子どもっぽいところがあった。
わたしが雷で泣いてるときはずっと抱きしめてくれて。
ほんとにあげたらきりがないくらい、この数ヶ月で知ったことがある。