「……気遣いやがって」 とっさに出たのは、そんな照れ隠し。 「あんたねぇ〜……。素直に受け取りなさいよ」 「どーせ高野しか見てなかっただろ」 「失礼な!拓海も見てたし!」 「ふはっ、俺 "も" か」 ムキになって出てきた杏の素直な言葉に、思わず吹き出す。 あー、素直なヤツめ。 ……まぁ、そんなこいつだからこそ居心地がいいんだけど。 わざわざ動かしにくい左足使って、俺のところに来てくれたんだ。 高野に会いに行きたいだろうに。あいつじゃなくて、俺のところに。