片想い同盟

「え……、あ、ごめん」


拓海の勢いに押されて、目が丸くなる。


え、なんでそんなに怒ってるの？もしかして、心配して来てくれた？



「ったく……。いつから我慢してた？」

「え」

「試合前からだろ、それ。いつから無理して笑ってたんだって聞いてんの」


口調はきついけど、本気で心配してくれてるのが伝わる。

拓海も、気づいてくれてたんだ。



「あー……。えへへ」

「誤魔化すなよ」


へらっと笑ってみたけど、やっぱり無理みたい。


でも、言えるわけがない。

言ったらきっと、拓海は。




「杏」