片想い同盟

「あー……、もう無理」

「えっ、ちょ……！」


こぼれた涙を拭う隙もなく、私は強い力で引き寄せられた。


暗くなる視界。包まれた匂いと、あったかい体温。


それが、拓海に抱きしめられたとわかるのにそう時間はかからなかった。



「ずっと、こうやって思いっきり抱きしめたかった」


頭上から聞こえた拓海の柔らかすぎる声に、私もたまらずその背中をギュッと抱きしめる。


あー、どうしよう。クラクラする。

こんなに大好きな人の匂いに包まれたことが初めてで、ふわふわして飛んでいってしまいそうだ。