* 杏樹 side * ……拓海に触れられた頬が、一気に熱を帯びた。 「……っ、え」 突然すぎて、びっくりしすぎて、意味がわからない。 情けなくも、私はまともに声を出せなかった。 真っ直ぐに私の目を見てくる拓海の視線に、心臓の音がどんどん早くなっていくだけ。 「もう一回言ってやろうか」 「……や、えと、」 「杏のことが好きだよ」 「……っ!」 もう何度聞いても、その言葉は私には夢みたいで。