「ちょ、ちょっと……!拓海!」 怒っている杏を無視して、ぐんぐんと廊下を抜けていく。 さすが学校祭。人が多くて、少しでも油断したらはぐれそうだ。 けど、だからこそ。空いてる場所がある。 そのまま廊下を突き進んで、誰もいないであろう図書室の扉を開けた。 「やっぱり誰もいないな」 「ちょっと!なんなの……!?」 パッと手を離したと同時に、杏はまだ怒った様子で俺をキッと睨みつけてきた。 けど、気にしてる余裕はない。お前が避けるからこうなるんだっつの。