……私、サイテイだ。 白石さんが苦しい思いしてるのに。 それを心配して慌てることは当たり前のことなのに。 ……なのに、思ってしまった。 "触らないで"って。 「……ほんっと、どうしようもない」 急すぎる展開だったのに、それだけはきちんと思ってしまったんだから。 なんで、拓海が。他の人でもよかったのに。拓海があんなに心配そうに抱きかかえて走る姿なんて、見たくなかった。 そんな醜い感情ばかりがモヤモヤと溢れて来て、ギュッと手に力がこもる。