本当に、一瞬の出来事。 同じく慌てた優希くんも一緒に玄関へと入って行って、私だけがこの場に取り残されたような形になってしまった。 ……白石さん、だったよね。たしかに。 気を失ってた……?倒れたのかな……。 あまりにも急な出来事すぎて頭が追いつかないけれど、一瞬で通り過ぎていった拓海に抱えられた彼女の顔は赤かった。 この暑さだ。熱中症だろうか。 頭ではそう冷静に考えられているはずなのに、なぜか胸がきゅうっと締めつけられるような感覚。