片想い同盟



「……ほんとだ。どうしたんだろう?何かあったのかな?」

「ごめん遠山さん、ちょっと見てくる」



心配した優希くんが、チェックシートを持ったままグラウンドへと向かって行った。


……よりも、先に。



「ゆめ……っ!?」

「……っ、」


グラウンドの方からまっすぐと、誰かが女の子を抱きかかえて走ってくるのが見えた。


優希くんが遠目からその女の子が白石さんだとわかるように、私もその抱きかかえている人物がすぐにわかってしまう。



「……っ、高野!悪りぃ、このまま保健室連れてく!」


近づいてきたその人───拓海は、私たちの姿を確認するなり、焦ったような声で優希くんにそう告げて、玄関の中に入っていった。