片想い同盟



少し遠くから、グラウンドで部活をする声が聞こえてくる。


中にはきっと拓海の声もあるんだろうなぁ、なんて思いながらこの場所で作業できるのは少し楽しい。



「それにしても今日は暑いね」

「たしかに。夏ももう後半になってきてるのにね」


本当はダメと分かっていても、持っているチェックシートで仰ぎたくなってしまうほどの暑さ。


最近は夏の暑さも落ち着いてきていたはずなのに、今日は蒸している。



「……ねぇ、なんかあっち騒がしくない?」

「え?」


ふと、優希くんがそう言ってグラウンド側に目を向けた。



「……ぃっ、〜!」

「は……く、……〜っ!?」


よくよく聞いてみるとたしかに、内容こそは聞き取れないけれど、なんだか慌ただしい声が聞こえてくる。