「……付き合ってること、俺否定しただろ。あれ、お前が友達と一緒にいたから、変に誤魔化したり嘘つかない方がいいかなと思って」
さっきの、杏が気にしていたこと。
……安達に付き合ってるのかって聞かれたとき、最初はいつもどおりに否定も肯定もせずに、うまくやり過ごそうと思った。
けど、杏が友達といるのを見て、やめた。
「……なんで」
「なんでって、お前、電話のとき言ってたじゃん。中学のとき仲良かった友達と夏祭り行くって。あの子がその友達だろ?」
珍しく杏の声が弾んでいたから、覚えてる。
久しぶりに会った友達の前で、下手に嘘はつきたくないだろう。



