「……それ、俺のこと意識してんの？」
考えるよりも先に、そう聞いていた。だって、俺の耳にはそう聞こえたから。
俺の問いに、杏はバッと顔を上げる。
「な、な、な……っ」
その口はパクパクと金魚みたいに開いて、おまけに頬まで赤くなってきた。
え……なに、この可愛い生き物。
こっちがにやけそうで、口をキュッと引き締める。
「違う？俺の勘違い？」
我ながら、ズルい言い方をした。まさに杏の言うとおり。
でもきっとこいつは、ムキになって、『別にそんなんじゃない』なんて言うんだろうな。ほんっと、素直じゃねぇんだから。
そんなことを思いながら、返事を待つ。
すると、杏の答えは。
