半分は、邪魔されたことへの苛立ち。
あと半分は、そのバカにしたようなその口調が気にくわない。
いつかに杏に言われた、女子への塩対応。
別に塩なつもりはないけど、まぁ人によって言動を変えてる部分はあるかもしれない。
「い、いや、別に気になっただけだし!やだな〜、拓海くん。そんな怖い顔しないでよ」
焦るその女の表情で、なんとなく思い出した。
……たしか、中学の頃に俺に告ってきたやつだ。自惚れじゃなきゃ、間違いない。
「もう俺ら行っていい?まだデート中なんだけど」
そう聞いておいて、返事を待たずに俺は杏の手を引いた。
なんか後ろでまた甲高い声が俺の名前を呼んだ気がしたけど、そんなの知らない。



