「あれ、あなた遠山さん?え、拓海くんと付き合ってるの?マジ?」
そして杏の存在を認識すると、まるで面白いものを見つけたかのように俺と交互に見てくるものだから、正直気分のいいものではなかった。
杏を知ってるってことは、中学か高校のやつだ。
ここが地元なことを考えると、中学の可能性が高い。……が、いまはそんなのどうでもいい。
杏の手を握って、グイッと引き寄せる。
腕の中で杏が驚いたように「え?」と俺を見上げたけど、気づかないふり。
「うん、俺ら付き合ってんの。で?それがなに?」
……ほんっと、邪魔しないでくれるかな。



