な、なんでこうなるのっ。 ムニーッと限界まで頬は伸びて、パッと離される。 「ちょっと!」 「ははっ、お仕置きな」 すぐさまキッと睨みつけたけれど、拓海は楽しそうに笑っただけだった。 「え、唐沢お前、遠山さんと知り合いだったっけ?」 さっき私に声をかけてきた男子が、真横で目を丸くして拓海に話しかける。 あ、この人が安達くんだと、いま理解した。 2年弱も顔を見ないと、やんわりとした認識しかない人はこうも誰だかわからなくなるらしい。