"元1組"……って、ことは……。
目の前のこの人よりも、私の関心はその組。
が、考えが答えにたどり着くよりも先に、私の体はグイッと後ろに傾いた。
肩に触れただけのその手に、不思議と一瞬で安心を覚える。
「おいこら、安達。お前近すぎ」
真後ろから聞こえたのは、電話越しじゃない、ホンモノの声。
「た、拓海……!」
「よ、杏」
振り返るとそこには、会いたくてたまらなかった拓海の姿があった。
「ったくお前は、俺よりも先に安達に絡まれやがって」
「い、いひゃい、いひゃい〜っ!」
せっかく会えて嬉しいのに、拓海の方はといえば、なぜかしかめっ面。
おまけに私の頬を急に引っ張ってくるものだから、私の喜びは一瞬で痛みへと書き換わってしまった。



