「あっ、だから浴衣か〜。杏樹が浴衣着てくるなんて珍しいなーってちょっと思ってたんだよね。お化粧だって、高校生になったからしてるのかなって思ってたんだけど。はは〜ん、そういうことか〜」
「ちょ、香里奈!」
勝手に解釈し始めた香里奈は、ぶつぶつと呟いてはニヤニヤ笑う。
……ぜ、全部バレてる。
思い切って浴衣にしたことも、滅多にしないお化粧をしたことも、この子には完全にお見通しだ。
「香里奈、杏樹〜。どうしたの?おいてっちゃうよー?」
いつのまに遅れをとっていたのか、少し先のところに進んでいたみんなが私たちを呼んだ。
「あ、ごめん、いま行く!」
香里奈と2人で慌てて駆け出す。
しかし、そのタイミングで「あれー?」と別の方向から声が聞こえて、その足は止まった。



