拓海のその質問には、素直にコクリとだけ頷いた。


「あー……、ったくもう。俺まで離れがたくなってどうすんだよ」


困ったように眉を下げて笑う拓海に、私も同じ笑みを返す。



……拓海も、寂しいって思ってくれてるんだ。

それがわかっただけでも、なんだか少し気持ちが和らぐから不思議。


こんなにも夏休みが来ることを嫌だと思ったのは、もしかしたら初めてかもしれない。


「じゃあ、部活頑張ってね」

「おう。ちゃんと連絡すっから」


ニッと笑ってグラウンドへ駆けていく拓海の背中を最後まで追った。



んーっ、と思い切り伸びをする。

今日から、夏休みだ。