「ここまででいいから」 「え?でも」 グラウンドまで送っていこうと2人で並んで歩いていくと、その手前で拓海は足を止めた。 たしかに、グラウンドまで行って正面の校門から出るより、ここで裏門から出た方が早い。 でも、なんか……。 「杏?どした?」 なんとなく下を向いてしまった私の顔を、拓海が覗き込む。 「ううん、なんでもな……」 「なに?言ってみ?」 誤魔化そうとしても、拓海はそれをさせてくれない。 ……ずるい。拓海ばっかりがなんでも見透かしてる気がする。 「……寂しいなぁ、って」