「ねぇ、遠山さん」 「……っ!」 また一歩下がろうとしたら、そこはまさかの体育館の壁。 ち、近い……! 遂に追い詰められたと理解したときには、もうすでに肩をガシッと掴まれていた。 「ちょ、ちょっと……っ」 「仲良くしようよ、遠山さん」 ちょっとこの人、しつこい……! 振りほどこうとしても男子の力に敵うわけもなく、肩はさらにギュッと力を込められる。 「……っ」 痛い。触らないで。 そう言いたいのにうまく声にできない。 どうしようかと必死に頭を働かせようとした、そのときだった。