悪いけど、そんな嫌味に屈するほど、私、オンナノコじゃないんだよね。
独り占めもなにも、私が拓海といたいから一緒にいるだけ。ただ、それだけのこと。
「……あのさぁ」
その場の空気を破って言葉を発したのは、私ではなく拓海の方だった。
「よく知りもしない女子にとやかく言われる時間があんなら、俺、杏といたいんだけど」
シレッと放たれたその一言に、私も含めその場の人間がしんと静まりかえる。
「つーか、独り占めもなにも、俺が杏といたいから一緒にいるだけだし。なんか文句ある?」
……初めて、拓海が女子に冷たいところを見たかもしれない。
それは他のみんなも同じだったらしく、他クラスの彼女はふいっとそっぽ向いて教室から出て行ってしまった。



