片想い同盟



「なんでよ」

「いやだって、ほら」


私の手を掴んでる方とは逆の手で、拓海は胸ポケットを指差す。


そこは、さっき拓海が私のメガネをしまった場所。



「……うわ、最悪」


メガネがないと外なんて歩けない。


雰囲気でなんとなくは進めるけど、看板の文字とかはまるで皆無な私に、これからどこに向かうかすらわからない場所を目指して歩けというのはかなり難題だ。


そもそも、拓海がメガネを返してくれさえすればこんなことには……。


そう思って見上げても、本人は「帰るまで返さねぇよ」ととんでもない暴君発言をするだけ。