並んだ2人を見て胸を痛めたからじゃない。
……2人が、うまく見えなかったから。
視界がぼやけていて、彼らと目が合っているのかすらわからない。
白石さんたちを見つけた瞬間、私からメガネを奪った拓海のその優しさに、つい泣きそうになってしまった。
ほんと、もう、お人好しなんだから。
おかげで優希くんがどんな表情をしてるかとか考えなくて済んだ私は、淡々と「お疲れ様」とだけ返す。
「悪りぃな、俺ら急いでるから。行くぞ、杏」
「えっ、あ、うん」
その直後にうまく口を挟んだ拓海に背中をグイグイと押されると、私はあっという間に玄関から離れていった。



