そのソプラノの主の隣には、きっと。 「お疲れ、唐沢。……遠山さん」 「……っ」 好きだった人の声が、私を呼んだ。 大丈夫。もう未練なんてないし吹っ切れてる。 そう思っていても、いざ本人を目の前にすると自分がどうしたらいいのかわからなくなってしまう。 ふぅっと息を吐いて覚悟を決めた私は、ゆっくりと後ろを振り返った。 背後で拓海が小さく「バカ」と呟いた気がする。 振り返って、彼ら……優希くんと白石さんを見たとき、思わず泣きそうになった。