「少しは落ち着いたか?」
「……ん、ごめん」
「はぁ〜……。急に泣くからびびったわ」
「……ごめん」
しばらく泣き続けた私は、少しして拓海の腕から解放された。
涙を拭って、ズッと鼻水をすする。
はぁ、情けない。拓海の……というか、人前で泣くだなんて。
「いや、そんな謝んなよ。俺こそ急に引っ張って。……つか俺、部活帰りだから汗くさかったよな、悪りぃ」
「ううん、全然」
むしろ安心できた、なんて言葉は喉まで出かかって飲み込んだ。
そのあとで「落ち着けるところに行こう」と提案してくれた拓海と、少し歩いた。
向かった先にあった小さなこの公園にはベンチなんてなくて、私たちは並んでブランコに腰掛ける。



