片想い同盟



「え……?」


直後、彼の動きが止まった。


見開かれた目が私をまっすぐに捉えているけれど、怖くてその目を見ることはできない。


……ちょっと待って。何言ってるの、私。


いまになって、冷静に数秒前に発した言葉を思い返す。


え、待ってよ。バカバカ。こんなこと言うつもりじゃなかったのに。


後悔したところでもう遅い。そんなことわかっていたけれど、私はガバッと顔を上げて精一杯に口角を上げた。



「……なんてね!あはは、びっくりした?優希くんが変な勘違いするからだよ、全くもう〜」


おそらくこのかた、優希くんにこんな口調で話したことはないと思う。


それでもこの瞬間で私がとっさにできる方法は、まるで拓海に話しかけるようなテンションで思いっきり笑い飛ばすことだけだった。