こんなはずじゃなかった。
こんな結末は望んでいなかった。
先輩とのラインのトーク画面が涙でぼやけて見えなくなる。
この一回の通話で、私の恋は終わりを告げた。
*
最初に先輩に出会ったのは、今の部署に配属されたばかりの頃。
まだ言葉を交わすことはなかったけど、会社で開催されたスポーツフェスティバルで一人迷子になったとき、声をかけてくれたのが先輩だった。
そのことがきっかけで、先輩と私は少しずつ仲良くなっていった。
金髪で一見チャラそうに見えるけど、本当はとっても優しくて真面目で、礼儀正しい人。
休憩時間はジュースをおごってくれたり、二人で下らない冗談を言い合ったり、嫌なことや悩みごとがあったときは親身に寄り添って聞いてくれた。
もともと学生時代からモテるタイプだったらしいけど、私はそんな優しくてかっこいい先輩に心から惹かれていった。
それから夏になって、職場の人たちと花火大会に行った時のこと。
私と先輩は飲み物を買いに、自販機に行った。
たった二人きりで、周りに人はいない。
それだけで、私の胸はドキドキしていた。
自販機のボタンを押し、ジュースを取り出そうとした時、後ろにいた先輩は何の前触れもなく、私にこう言った。
好きだよ。
あまりに唐突過ぎて、思わず吹き出してしまったけど、本当は今までにないくらいに嬉しかった。
私もその場で先輩が好きだったことを伝えて、その日から私と先輩は付き合うことになった。
職場で噂にはなったれけど、それからは毎日が幸せだった。
休日デートに行った時も、歩いているときにさりげなく手を繋がれたり、頭をそっ撫でてくれたり。
今まで生きてきた中でも、指で数えられるほどの幸せな時間だったと思う。
とにかく毎日が楽しくて、きっと、このまま先輩と結婚しちゃうかもなんて、考えたりもした。
だけど、初めての甘い恋は長くは続かなかった。
段々時間が経つに連れて、お互いにすれ違う部分が生まれるようになった。
合わないかも、っていう不安も少しずつ湧き出るようになった。
漠然とした気持ちで過ごす中、
先輩からライン電話はかかってきた。
もう、別れようか、と。
うっすら自分でも気付いていたかもしれない。
今のままじゃ、先輩とは長く付き合えないこと。
今のままじゃ、うまくやっていけないってこと。
分かってはいたけど、私は嫌だった。
あの日の花火大会の帰り際、私の浴衣の着方が間違ってることに気付いて指摘した先輩の言葉。
来年も間違えたら、その時は笑ってやるからな?
"来年も"って言ってくれた。
また、来年もこうして先輩の隣で綺麗な花火を見られるんだって、思っていた。
だけど、その来年はもう一生来なくなってしまう。
必死に言葉を紡いで、先輩に胸の内を話したけど、
結局、先輩とは別れることになった。
3ヶ月、本当に短い時間だった。
嬉しい思い出の分だけ、
楽しい思い出の分だけ、
別れたときの悲しみも大きくなる。
今までありがとうね。
何も言わないまま、
伝えてくれないままで良かったのに。
そんな優しい言葉は
言わないでほしかった。
余計に、辛くなるから。
寂しくなるから。
*
その日の夜、私は一晩中ベッドの中で泣いた。
時計が1時を回っても、2時を回っても涙は止まらなかった。
別れても先輩とは変わらず同じ職場のまま。
どう振る舞えば良いのだろう。
職場の人にも既に先輩と付き合っていることは知れ渡っている。
こんなことは口に出したくない。
布団を頭から被り、目を瞑った。
現実から逃げる人の気持ちが今なら良く分かる。
真っ暗闇の中、規則的な時計の針の音だけが、部屋に響いていた。
もう、しばらくは恋はできないかもしれない。
こんな結末は望んでいなかった。
先輩とのラインのトーク画面が涙でぼやけて見えなくなる。
この一回の通話で、私の恋は終わりを告げた。
*
最初に先輩に出会ったのは、今の部署に配属されたばかりの頃。
まだ言葉を交わすことはなかったけど、会社で開催されたスポーツフェスティバルで一人迷子になったとき、声をかけてくれたのが先輩だった。
そのことがきっかけで、先輩と私は少しずつ仲良くなっていった。
金髪で一見チャラそうに見えるけど、本当はとっても優しくて真面目で、礼儀正しい人。
休憩時間はジュースをおごってくれたり、二人で下らない冗談を言い合ったり、嫌なことや悩みごとがあったときは親身に寄り添って聞いてくれた。
もともと学生時代からモテるタイプだったらしいけど、私はそんな優しくてかっこいい先輩に心から惹かれていった。
それから夏になって、職場の人たちと花火大会に行った時のこと。
私と先輩は飲み物を買いに、自販機に行った。
たった二人きりで、周りに人はいない。
それだけで、私の胸はドキドキしていた。
自販機のボタンを押し、ジュースを取り出そうとした時、後ろにいた先輩は何の前触れもなく、私にこう言った。
好きだよ。
あまりに唐突過ぎて、思わず吹き出してしまったけど、本当は今までにないくらいに嬉しかった。
私もその場で先輩が好きだったことを伝えて、その日から私と先輩は付き合うことになった。
職場で噂にはなったれけど、それからは毎日が幸せだった。
休日デートに行った時も、歩いているときにさりげなく手を繋がれたり、頭をそっ撫でてくれたり。
今まで生きてきた中でも、指で数えられるほどの幸せな時間だったと思う。
とにかく毎日が楽しくて、きっと、このまま先輩と結婚しちゃうかもなんて、考えたりもした。
だけど、初めての甘い恋は長くは続かなかった。
段々時間が経つに連れて、お互いにすれ違う部分が生まれるようになった。
合わないかも、っていう不安も少しずつ湧き出るようになった。
漠然とした気持ちで過ごす中、
先輩からライン電話はかかってきた。
もう、別れようか、と。
うっすら自分でも気付いていたかもしれない。
今のままじゃ、先輩とは長く付き合えないこと。
今のままじゃ、うまくやっていけないってこと。
分かってはいたけど、私は嫌だった。
あの日の花火大会の帰り際、私の浴衣の着方が間違ってることに気付いて指摘した先輩の言葉。
来年も間違えたら、その時は笑ってやるからな?
"来年も"って言ってくれた。
また、来年もこうして先輩の隣で綺麗な花火を見られるんだって、思っていた。
だけど、その来年はもう一生来なくなってしまう。
必死に言葉を紡いで、先輩に胸の内を話したけど、
結局、先輩とは別れることになった。
3ヶ月、本当に短い時間だった。
嬉しい思い出の分だけ、
楽しい思い出の分だけ、
別れたときの悲しみも大きくなる。
今までありがとうね。
何も言わないまま、
伝えてくれないままで良かったのに。
そんな優しい言葉は
言わないでほしかった。
余計に、辛くなるから。
寂しくなるから。
*
その日の夜、私は一晩中ベッドの中で泣いた。
時計が1時を回っても、2時を回っても涙は止まらなかった。
別れても先輩とは変わらず同じ職場のまま。
どう振る舞えば良いのだろう。
職場の人にも既に先輩と付き合っていることは知れ渡っている。
こんなことは口に出したくない。
布団を頭から被り、目を瞑った。
現実から逃げる人の気持ちが今なら良く分かる。
真っ暗闇の中、規則的な時計の針の音だけが、部屋に響いていた。
もう、しばらくは恋はできないかもしれない。