その時、青山は匂いで察した。
彼が月村花楓を嫌っている事を…。

「あっ、あの!」

「え?」

青山が松木桃李に話しかけると、花楓への嫌な視線とは違う普通の目付きに戻っていた。

「お風呂上がり、サイン下さい!
俺と、うちの事務員が貴方のファンなので!」

「お前もファンなんかい!」

すかさず烏丸が突っ込むと、
松木桃李はクスッと笑った。

「いいですよ。」

そう言い温泉へと向かって行く松木桃李の後ろ姿に青山はみとれていると、花楓が羨ましそうに言う。

「花楓には冷たいのに…いいな。」

「アンタは強引過ぎるんとちゃうか?」

「えぇ!?そうですかぁ?」

青山は、松木桃李は月村花楓のアタックにうんざりしてろんだろうなと心の中で呟いた。