夕飯を終えた烏丸と青山は、旅館の浴衣に着替えて温泉へと向かっていると、休憩室から月村花楓の声が聞こえてきた。

「ねぇ、桃李くん。花楓の事嫌いなの?」

「ちょっと…」

畳の床の間の休憩室で、二人きりのようだ。
障子の張られたしきり越しに薄らと2人の影が見える。

「なんしとんのやあの子ら?」
「あ、烏丸あんまり干渉しない方が…」

烏丸が休憩室の中を覗くと、
壁に沿って座る松木桃李の膝の上に花楓が跨いで乗っている姿……。

「きゃあっ!?///」
「うわっ!?すまん!!」

そんな姿を見られた花楓は直ぐに桃李から離れたが、その隙に松木桃李がため息をついて立ち上がり逃げた。

「俺も温泉、行こうかな。」

「あ……桃李くん。」

少しはだけてしまった浴衣の羽織りを整えて松木桃李は青山の横を通り過ぎた。