「怖いのか?」
「……」
朋世は激しく首を横に振る。
本当は一人でいるのが怖いなんて言えない。
言ったらきっと馬鹿にされるから。
「おばさんやおじさんは?」
「旅行に行ってていないの……」
「それで、一人寂しくコンビニ通いか」
彼女がたった一人で出歩いていたことに要はひとつ頷いて納得した。
それから不敵な笑みを浮かべて、朋世の顎を指先でフイッと持ち上げる。
「俺がトモの事好きだって忘れてないよな?」
「それは……」
朋世の頬がみるみる桜色に染まっていく。
要が触れているところが熱くて、朋世は掴んだ袖を離せないでいる自分自身に内心驚いた。
黒檀のような彼の瞳から目が逸らせない。
どう返事をしていいのか分からないでいると、彼の手がスッと引かれた。
「冗談。俺分のデザートもあるみたいだし、もう少しぐらい一緒にいてやるよ」
そう言って山中家の門を開けて通る彼の後を、朋世はほんの少しだけ安堵しながらついていった。



