やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ


しかし、仕方が無いだろう。
両親の結婚記念日に興味がある子どもはそんなにいないのだから。

「そこで、来週にでもお母さんと出掛けてこようかと思うんだけどいいかい?」

今度は父が言う。
母と一日デートがしたいという申し出だった。

「いいよ」

朋世はすぐに了承する。
父と母だって歴とした恋人同士なのだ。
それにケチをつける権利は無い。
むしろ、夫婦円満は良いことだ。

「朋世の分のお夕飯は作っていくし、ちょっと遅くなるかもしれないけどその日のうちには帰るからね」

どれほど浮かれても母親としての役目はきっちり果たそうとしてくれる母。
朋世は我が親ながら心から尊敬していた。
そんな両親に束の間のご褒美をあげたくなってしまった。

「夕飯なんて適当でいいよ。てか、どうせなら一泊しておいでよ。その方がゆっくりできるじゃん」

朋世からの思わぬ提案に、両親は互いに顔を見合わせ「でも……」と躊躇う。