「何って、その……」
まさか、彼が先に帰ってしまったのではないかと追いかけようとしていたなんて言えるわけない。朋世はごもごもっと言葉を濁す。
「まぁ、いいけど。少し休憩しよう」
「うん」
二人は空いていた観覧用のソファーに並んで腰掛けた。
目の前の大水槽では相変わらずシロイルカが優雅に泳いでいた。
あれから幸せのバブルリングは見せてくれない。安売りしていたわけではないらしい。
「ねぇ、要君……」
「何?」
朋世の声掛けに要が応えると、彼女の緊張は急激に増していく。
ギュッと握りこぶしに力を入れて、横に座る要の方へ身体ごと顔を向けた。
「あの時は叩いたりしてごめん……」
朋世が頭を下げて謝ると、要は少々驚いた風な表情を見せた。
彼女から謝罪されるなんて思いもしなかったのだ。



