「待てって」
しかし、要がそれを許さない。
朋世の腕をギュッと握って逃亡を阻んだ。
「離してよ!アタシには関係無いんでしょ?要くんがそう言ったんじゃな――…」
言いたい事を全て言い終わらないうちに、要の唇が朋世のそれを塞いだ。
あまりに突然の出来事で朋世は大きな目を見開いた。
そばを歩いていた数人の通行人も、当事者の二人も鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべている。
要の唇はすぐに離された。
平然とした顔をしているのは彼だけ。
「俺が好きなのは昔からトモだけだから」
要はそうはっきりと言葉にした。
色んな事が一気に起こり過ぎて朋世は言葉が出ない。
何が本当で何が嘘なのか段々と分からなくなってきた。
「要君……ひどい……」
若奈は要の事を“ひどい”と繰り返して泣くばかり。



