『はぁ…午後からまた会議か。』
会社のディスクでパソコンと向き合いながらボソッと呟いた。

僕は鈴木仁。22歳。ごく普通の会社員です。
もちろん彼女も居ません。
毎日、仕事しているただの男です。

バッシン‼︎

『いってぇ…。』
いきなりファイルで殴ってきたコイツは。

『んなため息ばっかついてるから、いつまでたっても昇進しねぇんだぞ‼︎』

僕の同期の田畑浬(たばたかいり)。

『殴ることないっしょ笑。』

彼は幼稚園からの幼なじみ。高校は別れたが大学でたまたま再会して、会社も同じとこに入れた。
部署は別だけど。『そういえばさぁ、お前まだ“見えんの?”』

出来れば触れたくなかったその話。

『あぁ…。今でもはっきりな。』