君が可愛すぎるから




弱々しい凪くんの声が耳に届いて、
逃げ出そうにも動けない。



心結と呼んだ声が、微かに記憶の中に残る声と、はっきり一致した。


そのまま、凪くんはベッドから身体を起こした。


わたしの手は掴んだまま、急に立ち上がった。


そして、掴んだ手を自分のほうに引いて、
わたしを抱きしめた。



急なことに、何事だろうとあわてる気持ちと、抱きしめる寸前、凪くんの身体がぐらついて、大丈夫なんだろうかって心配する気持ちがある。



「な、凪くん……?
急に立ち上がって平気……?」



平静を装って、気遣う言葉をかけると、
さらに強く抱きしめられた。



「……大丈夫じゃない」


「じゃ、じゃあ寝てないと……」


「……やだよ。
離したら心結は俺から逃げるでしょ?」



凪くんの言うとおり……。


今、離されたら、
わたしは逃げ出していると思う。