たぶん、きちんと面と向かって話をするのは初めてだ。
「えっと、そうですけど……。
な、何か?」
夏祭りの時に、理由も告げずいきなり逃げ出したところを見られていたので、気まずさが残っている。
「ちょっとだけ話できる?
すぐに済むから」
その提案を断ることができず、
無言で首を縦に振った。
場所を変えることになり、階段のそばの人通りが少ない廊下の隅に移動した。
いったい何を言われるんだろうって、
胸がざわついてばかり。
ただ一つだけわかるのは、
凪くんが関係しているに違いないということ。
少しの間、沈黙が流れたけれど、
それを破ったのは若菜ちゃんだった。
「どうしてわたしがあなたを呼んだかわかる?」
「……凪くんのこと、ですか……?」
「よくわかってるじゃん。今日はね、あなたに一つ忠告してあげようと思って」
「忠告……?」
嫌な予感がした。
忠告という言葉はあまりいい言葉ではないから。

