「ふーん。どこがわかんないの?」
そう言いながら、凪くんは座っている椅子ごとわたしのそばに近づいた。
さっきより距離が縮まって、無駄に心臓がうるさく音を立てる。
お互いの肩と肩が触れるくらい近くて、
心臓の音が凪くんに聞こえてしまわないか心配になってしまう。
わたしがそんなことになっているのを知らない凪くんは、平然とした態度で話す。
「どこがわかんないのか言って。教えるから」
さっきから凪くんが動くたびに、
甘い匂いが鼻をくすぐる。
意識しないようにしようとすればするほど、空回りしてばかりだ。
「有栖ちゃん?」
「……は、はい!」
ダメだ……全然集中できない。
意識が全て凪くんに向いてしまう。
わたしきっと不自然すぎるよ。

